ウミショウブ

S20070616umisyoubu 今年も6月の大潮からウミショウブの開花が始まった。どこかでも書いた気がするので簡単にしか説明しないが、ウミショウブは河口海側や珊瑚礁内側の浅瀬に群生し、稚魚たちの居場所となったり、川のもたらす土砂を固定する大事な役割をもった「藻場」を形成する。

カイソウではあるが、モズクなど胞子で増える海藻とは違い海草である。であるから、花が咲く。花は雄花と雌花があり、雄花の花粉が雌花の柱頭に接することで受粉するのだが、さすがに水中では動物の力を借りて他の株と受粉することは難しい。そこを、このウミショウブは潮の満ち干きと風の力を利用することでクリヤーしたのだ。

それは大潮辺りで潮の一番干上がる日。最大に水面が下がった昼間のその時間、海底から花茎がぐいと伸びた雌花がすばらしいほどのちょうど加減で水面に顔を出す。雌花からはヒラヒラした長い花弁が顔を出し水面に漂う。そのタイミングで水中深く、根元近くにある、雄花を沢山包み込んだ花茎の短い花穂(下写真左)からは、一斉に白い発泡スチロールカスのような小さな雄花が切り離される。

これが水面に浮かび上がったとたん、ちょうどトウモロコシがローストされてポップコーンになった時のように、花弁がポンと開き、花粉を沢山包んだ部分がむき出しになる。そして、雄花の反り返った花弁は爪のように逆立って水面に立ち、風が吹くとまさに走るように水面を滑っていく。これが水面に開いて漂う雌花の花弁にキャッチされる(上写真)。

あとは、再び潮が満ちてくれば、開いていた花弁は水の力で雄花を包んで自然に閉じる。そして受粉だ。

なんだか、難しく書いてしまった。ちなみに西表の伝統芸能ではインヌササグサ(海の笹草)と謡われている。

イリオモテイワタバコ

20070531iwatabako 山の涼しく、あまり日の当たらぬ垂直な岩盤などに生えている。根は岩に浅く張り付くように生えており、食用に葉を採ろうと力をかけると根っこから剥がしてしまうので、僕は葉柄から切り取って摘んでいる。食あたりに効くとも言うが、お味噌汁にちぎって浮かべると、独特のシャキシャキ感が美味。

葉は根元から大きなもの一枚。小さなもの一枚と数がだいたい決まっている。採るなら2枚出ているものの大きい方だけにしておきたい。くれぐれも根から剥がさぬよう。

タバコと名前がついているが、タバコの葉に葉が似ているからであって、煙草とは関係ない。

イリオモテムヨウラン

P5310058 腐生ラン。光合成いらずだ。かなり可愛らしい花が咲くが、小さく無葉なので花が咲かないうちにはなかなか気付かない。ぱっと見は、樹木の種から芽を出したところの若木が、出したところの葉を食われて茎だけで立ち枯れしているようにしか見えない。なので塊根性で毎年同じ場所に出ている筈にもかかわらず、今年まで気付かなかった。

おそろしい。間違いなく視野には入っていた筈なのに、勝手に決め付けて見落としていたわけである。

この後、西表は大きな台風に見舞われ、現地も2度水没している。次の年も咲くかどうかは分からない・・・。

ツノメチゴガニのばんざ~い!

20070531chigogani 西表の干潟のカニと言えば、やっぱりミナミコメツキガニなのだが、彼らが群れる河口近くではない、中流ぐらい石混じりのちょっとした浜(これも満潮時には水中なので一応干潟)にもようく目を凝らすと、可愛らしいカニがいる。これはツノメチゴガニ。小さな小さなカニだが、大きな手袋を着けたような両のハサミがいい。そして目には角状の突起がある。

小さな穴を巣穴にそこから3歩ほど出てきて食事をしながら踊っている。この踊りもウェービングの一種。雄が雌にアピール中。ウェービングといえば、シオマネキだが、どうしてどうして。チゴガニのアピールはなかなか表現力たっぷり。実感がこもっています。

両の手で大きく、

「ばんざ~い!君にあえてよかった!」

トーフ岩を押す(アーカイブ)

Sminamikaigan 海岸を歩くなら満潮時よりは干潮時がいい。それも大潮の最大満潮なんかに合わせて歩くと、実に歩みは快調だ。満潮時には大きな岩ばかりが連なる為に、上ったり跳んだりして越えていかなくてはいけない難儀な磯も、干潮時ならばちょっと沖を回ればいいだけ。潮の引いたイノーの底はだいたいなだらかで、走れと言われれば走れる。この辺りにはまだ珊瑚は見えない。珊瑚はもう少し奥。海手に連なる。

写真は南風見田を西へ約2時間歩いたところにある大きな岩。なぜか広い海岸にポツンと転がっている。いや、鎮座している。通称トーフ岩(豆腐)。おそらく山の高~いところから台風や地震の土砂崩れでゴロンゴロンと転がってきたのであろうが、その大きさ、形は見事という他ない。

西表では本来、「イワ」と呼ばない。どんな大きな岩石も「イシ」と呼ぶ。だからこのトーフ岩も正しくはトーフイシ。ただなんとなく網取の「ゴリラ岩」と同じような匂いがある。多分、近世になって誰かが形から名付けた単純な名前のような気がする。ただ、一度は見ておきたい西表の光景の一つである。

イカの卵のう

S20070424ika 上陸した砂浜で半透明な海藻らしきものがいくつか打ち上げられていた。たまたま目にしたそれが、なぜか気になって拾い上げてみた。プヨプヨした触感。海藻らしくない。で、光に透かして見ればハイこの通り。1房1房にはもうすぐ泳げるぐらいに成長したイカの赤ちゃんが。かわいい。

おそらく近場の海草の間に生みつけられていたものが、何らかの原因で海草からはがれ、流されてきたのだろう。海に戻してみたが、すぐに浜に打ちよせられる。はがれてしまった以上、もう、駄目なのかも知れない。

ならば、持って帰って食べてみるかと思い、まずそのまま味見。う~む。イカの味はしない。ぷちっと噛み潰した卵のうから染み出す、海の味そのままの液体はまるで美味しくないし、少し気持ち悪い。家でも誰も喜ばないだろう。

というので、写真だけとって、少し沖まで持っていって流した。多分駄目だろうけど。

サンガツサニチの獲物

Sp4190004 旧暦3月3日。女性が海に足をつけ、一年の息災を願うという行事がある。サンガツサニチもしくはハマウリ(浜下り)という。実際にただ海に足をつけるだけという人はあまりいない。この日はとにかく潮が引く。リーフまですっかり陸地になるぐらい引く。なので、みんな陸地になった海を歩き回り、獲物を探すのだ。つまりは潮干狩りである。

それには男も女も関係ない。女性の狙いは貝にモズクといった動かないものが多いが、その中でもオバアと尊敬を込めて呼ばれる人種はもっといいものを狙う。潮溜まりに残った魚、イカ、そしてタコである。これは主に男の領分であるが、オバアはしっかりこういったちょっといい獲物を狙う。

さて、僕はなぜかタコヤキがずっと食べたかった。とにかく食べたいのだからしょうがない。しかし、妻にはにべもなく「タコがない」と断られた。そんなあくる日、これがたまたま3月3日である。妻が採りたいというモズクのある場所を下見に、僕はまだ潮が高いうちから予定地周辺を潜ってみた。そして砂地にボコッと珊瑚が突き出た場所で珊瑚の下から何か赤黒いものがニョキッと出てきて、近くを泳いでいたアバサー(ハリセンボン)を一瞬で膨らませたのを目にしたのだ。そのニョキッはアバサーの針に触れて一瞬で珊瑚の下に引っ込んだのだが、僕は見逃さなかった。

たこだ。逃さぬ!今日はタコヤキだ!早速タコ捕獲にかかるが、今は下見の為何一つ持ってきていない。とりあえず素手で、と手を突っ込んでみるが、あのベタベタの吸盤に吸い付かれて躊躇する。珊瑚の穴から追い出してからだなと思い直し、今度はシュノーケルでタコをこちょばしにかかるが、逆にすごい勢いで引っ張り込まれ、引っ張り合っているうちにシュノーケルの先端部を奪い去られてしまった。これは駄目だ。近くの友人にイーグン(先端が曲がった銛)を借りてこようと考え、一端休戦することにした。

ただ、ただ休戦ではその間に逃げられても困るというので、近くの石を集めてタコの穴に厳重な蓋をする。同時にすぐに戻ってこられるよう、赤いフクロを珊瑚に結び付けて目印とした。

さて、友人はいなかったものの、近くを通ったオバアにイーグンを借りれたので早速もう一度挑む。イーグンの先でタコをこちょばすように触り、穴からおびき出すのだが、下手糞なのでなかなかタコも出てきてくれない。巧い人ならほんのコチョコチョである。が、格闘すること30分。敵もあまりの僕の下手さ加減にあきれ果てたのか、穴の奥からようやく体を現した。すかさず、胴体(俗にいう頭)をわしづかみにし、岩から引き剥がす。そして目と目の間の急所を一突き。ついに捕らえた。大きなタコだ。

辺りには、浜下りにきた子供たちが集まっていて、ちょっとしたヒーローである。

が、残念ながら僕の期待のタコヤキだが、「こんな上等なタコでは勿体無い!」と断られ、結局食べさせてもらえなかったのである。そんなのってない・・・。

凶風!大型台風にやられる

Sp91602649月27日、掲示板より。写真は家の西の道。左に見えるのが風で引っぺがされた我が家のトタン屋根。右側伝統的な珊瑚積の石塀も壊れている。

台風後、何通ものメールに掲示板の書き込みいただきまして、本当にありがとうございました。
返信できない旨の連絡のつもりで書き込みしたのが、余計に皆さんにご心配をおかけしてしまったようで、かえって心苦しく思います。申し訳ありませんでした。
あらためて、先日の台風での被害をお話します。
15日、夜中、暴雨域に入り、まず停電した為、寝室の襖を締め切り、家族で眠っておりますと、4時ごろ、寝室の外からボタボタバチャバチャと水が大きく落ちる音で目を覚ましました。
懐中電灯を点け、襖を開けますと、古いトタン屋と寝室のあるスラブ屋とのつなぎ目から雨水が滝のように屋内に流れ込んでいました。置いてあった箪笥、冷蔵庫が水を完全に被っている状態。
室内にもかかわらず、ドーンという風にあおられました。よろよろしながら、風の吹く方向を照らして見てみると、すでに北側の窓が吹き飛んでなくなっていました。そこから強烈な雨風が入ってきており、床はビチャビチャ。
パソコン、その他、大事な精密機器も水を被っています。
とりあえず、パソコンを避難させます。しかし、一番大事にしていた今は手に入らない図鑑類までは手が回りませんでした。
というのももう一つの北側の窓も破られ、吹き込んだ風でトイレと風呂場への扉が押し倒されたからです。気をつけながら見てみると、そちらの屋根はすでに飛ばされており、ただゴウゴウと天井のあった場所の空を雨と風が流れこんでいました。
真っ暗な中、どうすることもできず、ただ最後の砦の寝室の襖が破られないよう、台風が過ぎていくのを妻と二人祈りながら待つしかありませんでした。
幸いにもトイレと風呂場の扉、そして屋根が飛ばされたことで、風の抜け道ができたのでしょう。風はそちら側へ抜けて行き、子どもが眠る寝室は守ることできました。

次の日、台風が抜けた後、あまりの屋内の残状になにから手をつけていいか分らず、二人でぼおっとしてしまいました。
なくなった窓の修復、倒れた扉、室内の片付けに動き出せたのは2日後でした。
その次の日の夜には水も電気も復旧しました。
しかし、結局、石垣の方も被害がひどく、特に木材、トタンが卸しでも不足。手に入らない為、いまだに屋根は治せていません。

が、なにはともあれ、家族になんの被害もなかったこと、家財道具はけっこうやられましたが、家を出ていかなければならないほどの被害もなかったことは本当に幸いでした。
郡内ではもっとひどい被害を受けた方々がおり、僕の友人家族も2世帯が家を出ざるを得ない被害を受けました。
そういった方たちへの行政側の対策が早ければ、本当に同じ郡民としてありがたいのですが。

今回、台風後も復旧の為、ツアーを何日かキャンセルさせていただきました。楽しみに島にいらっしゃった方には本当にご迷惑をおかけしました。
また、最初にも申しましたが、励ましの書き込みを下さった方々には感謝しても感謝し切れません。僕も妻も非常に励まされ、こういうツアーをやっていてよかったと心から思いました。
どうもありがとうございました。

サガリバナ咲く朝の光

Sagaribana この時期の風物詩サガリバナの花である。別名サワフジ。川沿いや湿地帯などに生えるわりに大きくなる木で、梅雨明け頃から花が見られるようになる。夜にその花を開かせ、朝には落とす。

西表ではこれをカヌーで見に行くツアーが盛んだ。なんと言っても川沿いのサガリ花では落ちた花がいっぱいに水面に浮かんで見事。

ところで・・・

このサガリ花、もともとあった植物に違いはないだろうが、その湿地帯における強さ、成長の早さ、根の生やし易さなどから、昔は人為的に田圃の周りに垣として植えられた。これはイノシシ除けの為。等間隔に木を植え、木と木の間に横棒を掛け、柵としたのだ。

だから、場所に行けば、今もサガリバナが等間隔で植えられてあったことを確認できる。

西表名「ジルカキ」

天然記念物キシノウエトカゲ

Kishinouetokage 朝、一番、まだ夜露の残る山道で、木洩れ日に日光浴をしているキシノウエトカゲに出会った。

少しエラが張っているのでオスだろう。彼らは日本一大きくなるトカゲである。小さな時はよくいるような尻尾の青い所謂トカゲ。

それが何故、この種類だけこんなに大きくなるようになったのだろうか?餌が豊富だからか?外敵が少なく身を隠す必要がなかったからか?だとするとヤマネコはどうだ?立派な外敵である。外敵説ならば、ヤマネコはこいつらよりも大分後に島に来たとしなければならないだろう。疑問は残る。

しかし、久しぶりに写真を撮れた。って自分ちの庭にもいるんだけどね。