2005年の話。雨ばっかりの梅雨もまもなく明ける。ここ数日は比較的天気もいい。で、歩いてみた森の中。まだグジュグジュの残る山道の斜面に珍しい植物を見つけた。コンジキヤガラという蘭だ。金色矢柄かな。地面から花茎のみを高く伸ばした姿はなかなか異様だ。花も花か?と思うほど地味である。
その時はもう太陽の傾きの加減でそこが暗かった為、明日戻ってきて写真を撮ろうと思い、去った。そして次の日の朝、天気もいいのでワクワクして出かけてみたら、あった筈の場所でランが見当たらない。おかしい。どこにいったのか?確かに昨日はあった。それがなぜない?
ついつい悪い方に考えてしまう。蘭を狙う人が西表にもやってきて、自生地を荒らすのはよく聞く話だ。昨日帰りにすれ違った観光客。もしかしたらプラントハンターだったのか?採られてしまったのだろうか?いやいや、そんな悪いことはするまい。思い直し、這いつくばって探す。「あっ、あった!」そして見つけたのは、中ほどで折れてしまった花茎。折れた先端部も見つけた。見れば、着いていた筈の花が一つも残っていない。どころか全体的にボロボロのなっている。これはどうしたことだ?
近くを探して別の株を見つけた。ああ!カタツムリ!その株には小さなカタツムリが覆いかぶさって花芽をむさぼっていた。そういうことだったか・・・。しょうがないなあ、これは・・・。
幸い、まったく齧られていない株も見つけた。下手糞ながらなんとか写真も撮れた。しかし、こんな小さなランですら、本当に様々な外敵と対峙しながら生きているのだなあ・・・としみじみ思ったのであった。
p.s.僕はこの蘭がオキナワムヨウランと思い込んでいたのだが、同じ島の茂木さんの指摘で、コンジキヤガラという別の蘭と判明した。茂木さん、ありがとう。
近くに住んでいながら、なかなかお会いできませんが、こんにちは。
オキナワムヨウランについて調べていたら、この記事を見つけました。この写真、「コンジキヤガラ」じゃないですか?