月別アーカイブ: 2006年3月

ワダツミギボムシの糞塊

Wadatumigibomusi 潮の引いた河口の干潟にいくつも横たわる巻きグソ。誰もが驚く見事な巻きっぷりは半索動物ギボムシの糞塊。

要は全身管状の動物で地上に肛門だけをのぞかせ、ブリブリムリムリ糞を垂れ続ける。よーく探せば、まだ地中から新しいウンコがムリムリと溢れてくる糞塊もあり、その溢れてくる部分をぐいっと素早く掘り返せば、ギボムシ本体は無理ながら、肛門のきれっぱしが拾える。

本当に薄い膜のような管。この先になが~い本体がある。因みに糞塊は口から取り入れられた泥が、消化管内で有機物などの栄養分を吸収された残りとして肛門から出される。だから、本当にウンコ。

ミナミコメツキガニやシオマネキ類の土団子とは似て非なるものなのである。

マングローブテッポウエビ?orイソテッポウエビ

Sp1010084 マングローブを過ぎると、ぱちん!ぱちん!と大きな音がする。葉っぱや枝が折れたり、落ちたりする音か?いいや違う。

僕が違うと言った理由はその音を別の場所で聞いたから。それは潮の引いた干潟。一生懸命見つけたそいつは小さなエビだった。そして僕の手の中で同じ大きな音をさせてみせた。マングローブにもそいつの仲間がいるらしい。名前はマングローブテッポウエビ。だから、僕はマングローブでするその大きな音をマングローブテッポウエビの出す音と思っている。

さて、今日見つけたこのテッポウエビ。マングローブのすぐ脇の干潟にいた。以前見つけたことのあるイソテッポウエビなのか?はたまたこれがマングローブテッポウエビなのか?後者の可能性は低いかもしれないが、同定は専門家でもないので難しい。専門家でも難しいという。

格好いいのが、ピストル音を出す大きな鋏足と小さく鋭いもう一つの鋏足。捕まえようとしたお客さんがこれに挟まれ、ちょっと血を出した。「あたたた!」ピョンと手を離れ、地面に着地したそいつは、そこで身構え、大きく鋏を振りかざした。

「ぱちん!」

<謝罪>以前、このページにて、ある方がこの音を「テッポウエビの出す音とは信じてくれなかった」という意味の文章がありましたが、この方からそんな覚えはない。テッポウエビだとずっと言ってきたのは自分だとご指摘をいただきました。こちらの勘違いであったようです。そういったあいまいな記憶を頼りに、このような場所でご本人の名誉を傷つけたこと、ここに深くお詫び致します。以前にも、同じ方から同じようなご指摘をいただいたことがあるにもかかわらず、このような書き方をしてしまったのは、自分の反省が不足していたのだと思います。軽率な行動でした。以降、そういう一方的な記憶のみで文章を作成し、多くの方々に迷惑のかかることのないよう、充分気をつけさせていただきます。申し訳ありませんでした。

キンセンガニ

Sp1010082 足が泳ぐ為にちょうど船の櫂のようになっている蟹と言えば、間違いなくワタリガニを思い出す。彼らはその特徴を利用し、よく泳ぐ。

西表ではワタリガニの仲間で一番有名なのは「ノコギリガサミ」。美味いしでかい。

ところで、干潟などに生息するキンセンガニ。ガラッパの仲間である彼らの足はワタリガニの仲間よりもすごい。全ての足が泳げるような扁平な櫂状。特に鋏のすぐ後と、最後の足はブレードがでっかい。

それで、泳ぐのかと思えば、泳ぐよりむしろ足を利用し、体をブルブル震わせながら、砂に一瞬で潜る。忍者のように。

そうなのだ。彼らの櫂状の足は泳ぐ為よりむしろスコップのように穴を掘る為にあるのである。考えれば、櫂とスコップは少し似ている。

マチン科アイナエって一体・・・?

Skaiganminihana 海岸の岩の上で見つけたあまりにも小さな植物。そこは常に潮風に晒され、時には激しい波しぶきさえ届くような苛酷な環境である。

小さすぎて、ピント合わせに苦労するものの、なんとか撮れていた。後のリュウキュウマツの葉のサイズと較べればよく分る。蟻を撮るより辛い。

さて、この植物マチン科のアイナエというようだ。聞いたこともないような名前。しかも、こんな小さくて細くて、吹けば飛ぶような体のくせに、分布は沖縄から本州、アジア東部から南部。はてはオーストラリアまでと非常に広い。とっても頑張っている。生育地は日当たりの良い低湿地とあるが、こんな岩の上の窪みを低湿地と言っていいかどうか。しかも、結構塩分高いはず。なんせ頑張っているやつなのだ。

オオヒライソガニ(川の蟹)

Oohiraisogani 川の上流部で、蟹を見つけた。水の中から這い出して、岩盤を歩いていく。サワガニでもない。西表の川の蟹と言えば、モクズガニ、タイワンサワガニなどがメジャーだが、これは一体なんだ?

特徴的なのは長い足を甲羅の目の後にある切れ込み。イワガニの特徴を備えている。調べてみるとオオヒライソガニというようだ。鑑定はあいまいである。難しいなあ分類は。生息環境的には当り。広塩性といって、海、マングローブ域(汽水)、淡水とどこでも住めるらしい。

しかし、図鑑で形態を見ると目と目の間がこの種ではまっすぐである。だが、写真のこいつはちょっと窪みがある。ああ、難しい。毎日、分らない動物、昆虫、植物を見つけてきては、家に帰って図鑑とにらめっこである。

分らなくてブログに載せれていないものも実は多かったりするのだ。

ハカマカズラの花を見る

Shakamakazura ハカマカズラの種は黒くて美しいので、種マニアの自分としてはしっかり押さえていた。この種が面白いのは種の縁にUの字を縦に伸ばしたような模様(ヘソ)があること。何種類かあるが、外国産の漂着種子でも、同様のものを拾っている。ものの本によれば、絶滅に近い希少種であったりする。

さて、ハカマカズラとて、決して沢山見られる植物ではない。名前の由来は葉が袴の形をしているからで、夜にはこれが真ん中で折れてペタンと寝ている。変わった植物だ。

友人のお家を訪れていて、ジャングル化している隣りの空き地で、この蔓を見かけた。ああ、こんなところに・・・と思って上を見るとなんと花。初めて見る。見たい見たいと思っていたので興奮した。が、カメラを持っていなかったので、慌てて家に帰り、駆けつけるも、遠い。駄目元で友人に聞いてみると、脚立があるという。ありがたい、と借りて、地上7メートルの高さの花を撮ることができた。必死である。

bauhinia属である、この花は非常に美しい。マメ科ではあるが、とてもマメ科には見えない美しさ。見つけたら、一度是非脚立持参で接近して見て欲しい。

マルバチシャノキ

Marubatisyanoki よく目に付く場所にあっていつも写真を撮らなければと思っていたが、そういう場所の花ほどなかなか撮れなかったりする。

しかし、いつのまにやら木に沢山あった花の塊が見られなくなって、やばい花が終わる!と今回雨の中慌てて撮りに行った。木の表面の花は全部散ってしまっていたが、奥にいくつか咲いていた。反り返った花、淡い香り、ギザギザのある葉の縁。マルバチシャノキである。

西表では海岸林などに生えるようだ。因みに果実は淡い甘味があり、生食できるという。試してみなければならない。が、島でこの実を食べたという人は聞かない。大丈夫か?いつか書く機会もあるだろうが、島の人が食べたと聞かない別の実を食べてひどいことになったことがある。

マルバチシャの花には小さな毛虫が来ており、写真を撮るのに、そいつに刺された。酷い痛みであった。

モッコクの花

Sp3210003 西表ではイゾキと呼ばれている。ツバキの仲間で野生では海岸林などに生えるようだが、見たことがない。幸い、我が家の庭に5メートルほどの木が植樹されているので、いつでも観察できる。出来るだけ野生状態にこだわっているが、考えてみればこういうのはありがたい。

去年は一昨年に被った隣家の火事の影響か、花を咲かせなかった。なので今年こそはと期待していた。3月初め、拳を握ったような柄の長い蕾が下向きにいくつもついた。そして、中旬、可愛らしい花が開いた。花は淡い香りがする。

このモッコク、昔から島ではとても重宝されたようで、幹を削って、船の櫂を作ったという。黄色い材のその櫂は硬くて丈夫なうえ、万が一、食中りなどした場合にはこの櫂を削って煎じて飲めば治ったともいう。

試した人が偉いという話だな。

西表島水田の植物ヒメシロアサザ(ヒメガガブタ)

Sp3210028 西表は昔から稲の島(マイヌシマ)と呼ばれたという。ならば、沢山水田にかかわる動植物があった筈。しかし、やはり近来では国内と同じく、農薬、乾田化、無農薬アイガモ農法などのせいで、これらが見られる田圃は激減している。先のタニシも同じだ。

そこで、今度はこんな植物。こういうのは本当に調べにくい。ずっと気になっていた植物だが、全然図鑑で調べ切れなかった。葉は丸く水中の柄の部分まで切れ込みが入っている。花は白く非常に小さくて花弁は5枚。

ミツガシラ科ガガブタかと思ったが、図鑑では花に沢山毛が生えているし、これほど小さくない。同じ科のヒメシロアサザならマッチ棒の先程の花の大きさというので、これかとも思ったが、やはり同じく毛が花に生えているという。西表のものは毛がない。なので、違うのか・・・と悩んだが、ネットで調べていてやっと判明した。

先島地方には毛のないヒメシロアサザがあるという。有名な先生はこれをヒメガガブタと呼んだとか。しかし、正式には受け入れられなかったようだ。絶滅危惧Ⅱ類(環境庁)であり、沖縄では石垣と西表にしかない。

まさか、そんな珍しいものとも思わなかったなあ。

ギンヤンマ羽化し損ない?

Sp3210020 幻の田螺(タニシ)を求めて田圃の畦をそぞろ歩く。

と、足元からバタバタという羽音。見れば、ヤンマがいる。

しかし、羽がおかしい。縮れている。羽化したて?にしては羽が乾いている気がする。だとすれば羽化失敗?彼は一生飛び立てず、近いうちにカエルなどの餌になってしまうのか。哀れ。生きた記念はこのブログに俺が残す・・・。

帰ってきて調べた。顔の眼の前の部分でギンヤンマ類はリュウキュウギンヤンマ、オオギンヤンマなどに分れるようだ。このヤンマは黒、水色、黄色の平行線で区切られている。これはただのギンヤンマ。珍しくはないようだ。勿論、だからと言って、命に違いはあるまいが。