月別アーカイブ: 2006年3月

魚垣(うおがき)

Sp3210030 アーサを採ろうと思ってポイントに来たが、潮が引きすぎて採れなかった。アーサの着いた岩は既に完全に露出。今採っても、砂が沢山へばりついていて面倒くさいだけだ。

ふと、沖を見る。見えたのは点々と弧を描くように沖へと伸びる飛び石。これが魚垣だ。昔、魚垣はもっとしっかり整備され、今のように飛び飛びではなく、ちゃんと連なっていたのだろう。満潮時に海水と共に浅瀬に入ってきた魚は、潮が引くと、この魚垣の内側に残され、大海へ出られなくなる。魚垣の内側に残った水溜りには魚が集まっており、それを島人が獲る。

そんな漁である。しかし、今日の最大干潮17センチという潮では、まだ完全に潮は引ききっていない。魚垣を有効に使える大きな潮は一年にそうはなかっただろう。

そう考えれば、魚垣での漁というのは、島人の一種のイベント的レジャーだったのだろうな・・・と遠い昔に思いを馳せた。

旅鳥が島に寄っているのでいい季節だと。(コムクドリ)

Sp1010526 カヤックの行く手、海面すれすれを飛ぶ一列の黒いものは鳥である。今日は朝から森が賑やかだった。出発直後も、祖納半島の森から同じ鳥達が一列になってざあああっと海に向かって飛び出しては、ほんのちょっと沖に出たところで、一挙にUターンして陸に帰ってくるのが何度も見えた。

ピーチクパーチク、なかなか姦しい。最初は何をしているのか分らなかった。なにか猛禽にでも追われているのかと思ったが、猛禽の姿もない。

そして、離れた外離島でも。う~ん、これは冬鳥が北の空へ帰っていこうとしているのでは・・・などと想像する。家に帰ってよ~く調べてみた。

大群をなすのはコムクドリという。で、西表には冬鳥としてではなく、一年に二度、大群でやって来る旅鳥だという。なれば、海に飛び出しては陸に戻ってなんてことを繰り返していた彼らはまだ着いたばかり。漸く陸に辿り着いたものの、まだ慣れない環境でちょっとした1匹2匹のイレギュラーな行動が全体をあんなふうにパニックに陥れているんだろうなあ。

ヤツガシラが島に戻った日

Sp10103761jpg やはり春なのだ。車をドライブしていると、懐かしき黒い縞の模様の羽を持った鳥が逃げていったのが見えた。

路上にいて、車に驚いて逃げた感じだった。

その帰り、同じ場所で今度は電線の上にヤツがいるのが見えた。車が近づくと同じように逃げたが、10メートルも離れない同じ電線の上。そこでおもむろに頭の飾り羽を開いて見せてくれた。そして、また10メートルほど移動する。そこでまた飾り羽を開く。

今度は同乗していたお客さんたちも確認できたようだ。

やっぱりヤツガシラ!世界で一科一種の珍しい鳥。主に草地など開けた場所で見られる。牧場で拾った嘴が細くて長い特徴的な頭蓋骨は僕の宝であったりする。

もうすぐアカショウビンも帰ってくるかなあ・・・。

シマミサオノキの花を咲かせる

Sp1010344 山道を歩いていると、目立たない花に出会った。瓢箪型の蕾がいくつか付いてはいるものの、花が咲いていない。

残念、花が見たかった・・・。とよく膨らんだ蕾をつまんでみた。

瞬間、蕾が弾けた。一瞬にして蕾は愛らしい花に姿を代え、それを見ていたみんなが同時に感嘆の声を上げた。まるでマジック。

また見たいと他のいくつかの蕾も同じように試してみたが、駄目だった。唯一、僕が最初に選んだ蕾だけが、弾ける時を待っていたのだ。

シマミサオノキ(アカネ科) 西表名ダシカー 西表のイノシシ猟で、ワイヤーを結びつけバネ木にする弾力に富んだ材。 

使われなかった愛の巣

Sp1010170_1 川に面したマングローブの木に、リュウキュウメジロの巣を見つけた。あまりにも位置が低い。巣が掛けられたメヒルギは、最大満潮時でもないのに、水面からわずか40センチほどしか出ていない。

ちょっと風が吹いて荒れたり、大雨で増水でもしたら、すぐに浸かってしまいそうだ。で、そっとのぞいてみた。主はいない。

よく調べてみれば、案の定、巣が使われた形跡もない。

ただ、夜半の雨を吸ってしっとりと重かった。

アシナガキアリの宝石

Sp1010106 西表島では屋内外問わず、蟻が多い。ちょっとでも掃除を怠っている家ではどこからか蟻がやって来て、行列を作っている。掃除を怠ると言っても、網戸の下に落ちた小さな昆虫の死骸すらも目当てにして集まるのであるから、大変だ。

が、昔から言われるように彼らは働き者で力持ち。しかし、一生働き続けるなんてちょっと悲しいな。彼らにはなんか楽しみでもないのか?と思っていた。

さて、写真の蟻、数匹で立派な蜂を運んでいる。その蜂はなんとも南国チックな宝石色に輝いている。おそらくはな~んも考えずただ食べ物と思って運んでいるのだろうが、見る側は人間なのでしょーもない物語を思いつく。

「今、幼馴染のアリ達4匹は大空から降ってきた世にも不思議な色に輝く宝石を、きっと他の仲間に奪われまいと、みんなの住む巣穴ではない秘密の隠れ家に運び込もうとしている。彼らの幸運はまさにこの宝石を見つけたことにあったが、だがしかし、その宝石のあまりの美しさゆえ、今、彼らの心は互いに疑心暗鬼になり、深い不幸の淵へと同時に足を踏み入れていることに気付く筈もなかった・・・。」続かない

なんじゃこれ?

Sp3160161 庭周りの樹木を見ていた。と、ヤブツバキが紅い花を残すその枝に、白い塊がくっついているのに気がついた。風で浜に流れ着いた発泡スチロールが飛んできて、枝にひっかかっているのかな・・・などと思っていたが、なんだか気になる。まさか、西表にはいないモリアオガエルの卵塊でもあるまいし、ならば蜂の巣?だったら家の子供が危ない。早目に撤去せねば、と思い直し、おそるおそる近づく。う~ん?蜂の巣じゃない。

なんだこれ?ブックリ膨らんだ先っぽはすぼんで下を向いている。おまけに上部は枝にひっかかるではなく枝そのものから出ている。よく見れば、花の残骸が上部にあるというか、花の中にこれが出来ている感じだ。

雌しべが巨大に奇形したものかも・・・。しかし、へんだ。歪だ。ちょっと昔の沖縄などにあった「フィラリヤ」患者の狸の金玉化した睾丸にも似ている。これも何かの寄生でこうなったのだろうか?しかし、その質感は植物そのもの。しっとり柔らかかった。これがなんなのか?どんななっていくのか?ちょっと今後も追ってみよう。

ハマボッスのお花畑

Sp1010091 海岸線の植物や渓流の植物など、けっこう頑張っている植物が好きだったりする。海岸最前線など、荒い波や強い潮風に吹かれてさぞかし大変だろうと思う。まして沖縄独特の琉球石灰岩の上には大して土もない。

今日、上陸したギザギザ石灰岩の岩場の上に、ハマボッスが生い茂っていた。こんなに生い茂っていたかな、前は?

頑張っている。おそらく夏の台風でかなりが引きちぎられるだろうけど。つかのまの穏やかな日々にこれでもかと満開の花を見せるハマボッス。海岸線の植物は応援したくなるのだ。

イシガケチョウ群れる

Sp3090063_1 イシガケチョウが岩場で群れていた。よく土や岩に蝶が集まることがあるが、ミネラル補給などを行っているらしい。たしかに小便跡に蝶はよく来る。人間の出したものの中にはミネラルがたっぷりなのか。大変人間は無駄なことをしているような気がする。極限切り詰めて食し、やや色々な栄養素が不足気味になれば、小便の中のミネラルも出なくなるのか。

話は戻る。しかし、この蝶、蝶なのに、べったり羽を広げて止まるし、羽の模様はまさに石の崖。羽の形もどこか変。飛ぶ姿も当然どこか変。変な蝶である。

西表島はセイシカが満開!

Sp3090018 何度も書いているが満開である。最近はデジカメの具合が悪く、何度も撮ろうにも一度も撮れなかったが、今日はうまく撮れた。「聖紫花」幻の花。ツツジの仲間である。

でも、西表にいると、けっこう目にするので、なにが幻なのか分らない。高いところを見ればピンクに染まった木も見える。人によっては年によって咲かないから、などと言う。咲かない年を僕は知らない。

お客さんに、「なんとなく紫色に見えませんか?」「・・・・」「いや、日陰だと、ちょっと紫がかって・・」「・・・・・・」「じゃあ、紫外線が当って・・・・・」「・・・・・・・・・・・」

苦しい聖紫花なのである。