アーサを採ろうと思ってポイントに来たが、潮が引きすぎて採れなかった。アーサの着いた岩は既に完全に露出。今採っても、砂が沢山へばりついていて面倒くさいだけだ。
ふと、沖を見る。見えたのは点々と弧を描くように沖へと伸びる飛び石。これが魚垣だ。昔、魚垣はもっとしっかり整備され、今のように飛び飛びではなく、ちゃんと連なっていたのだろう。満潮時に海水と共に浅瀬に入ってきた魚は、潮が引くと、この魚垣の内側に残され、大海へ出られなくなる。魚垣の内側に残った水溜りには魚が集まっており、それを島人が獲る。
そんな漁である。しかし、今日の最大干潮17センチという潮では、まだ完全に潮は引ききっていない。魚垣を有効に使える大きな潮は一年にそうはなかっただろう。
そう考えれば、魚垣での漁というのは、島人の一種のイベント的レジャーだったのだろうな・・・と遠い昔に思いを馳せた。