カテゴリー別アーカイブ: 植物

ヤンバルセンニンソウ

Yanbarusenninsou キンポウゲ科のヤンバルセンニンソウが花開いていた。以前見つけて、ああここにあるなあと思っていた場所にいつのまにやら無くなってしまっていたことがある。道路脇の植物は、西表島の場合、道路管理の草刈などでも容易に姿を消していく。勿論、否定的な意味は何もない。

ただ、また次の花の機会を待ってしか探せなくなっただけである。

このセンニンソウ。仙人草と書く。なぜかと言うと、その種が非常に面白い形をしており、種の先に着いた毛が仙人のヒゲのようだからだとか。

しかし、その種も、今度見つけた場所が道路工事現場のすぐ脇だけに今後見れるかどうかは怪しい・・・・。

ギランイヌビワ(コニシイヌビワ)

Sp1010023_1 幹生果という。熱帯、亜熱帯の植物でこんなふうに実を幹から着ける種類は多い。特にクワ科イチヂク属で見られる。先にここでも書いたアコウなどもそう。実をこの地域独特の大型哺乳類、オオコウモリに食べさせる為に、こんなところに実を付けるのだ、と千石センセイに教えていただいたことがある。勿論、食べさせて、種を糞で運んでもらう為である。

さて、この写真の実。イチヂクだけにこれが花なんだか、実なんだかよく分らない。イチヂクは無花果。実を小さくしたようなのがぽっつり出来て、それが花で中におしべも雌しべもある。で、花の時期には先端(お尻)に小さな穴があって、ここから受粉を助ける虫が入る。それはこの場合、ギランイヌビワコバチ。一種のイチヂクには一種のコバチが共生関係を結んでいる。ガジュマルだったら、ガジュマルコバチ。

入るのはコバチのメスのみで、その体には花粉が着いている。それが花に侵入して子房(雌しべの根元)に産卵する際に雌しべと接触し、受粉する。勿論、産卵されなかった子房は成熟し種を作る。で、同じように産卵されたコバチの卵は幼虫になって産卵された子房を食べて実の中で成長する。この頃には、花の時代にあった虫の侵入経路はふさがっている。

そして、子房が熟して、いわゆる果実が食べ頃になる直前、実の中には羽化したコバチのオス、メスがワラワラといて、そこで交尾。オスはメスの為に果実を食い破り、脱出経路を開いてやる。この頃になって、果実の方は、初めてオシベに花粉を付ける。メスが脱出していく際、その体に花粉を着けさせる為だ。

そして、交尾を終え、花粉を着けたメスは別の花に潜り込む・・・

ああ、なんて複雑で、なんて素敵な営み・・・・

ギョクシンカ

Sgyokusinka_3 この時期には本当に花が多い。まあ、暑い夏が来れば、すぐに花も萎れてしまうので、今咲いておくのが賢明と言えば賢明。

しかし、西表の野生の花というのは白い花が多い。なぜだろう。森の中とかでは白が目立つのかなあ。

さて、アカネ科のギョクシンカ。山や海岸林内など、けっこう幅広く見かける。他の図鑑、HPなどでは山地の植物としてあるが、そうとは言い切れまい。ところで僕としては、以前自分のHPで玉心花か玉芯花か、などと字で悩んだが、今回改めてよく覗いて見て分った。玉芯花だと僕は思う。見よ、あの白い花の真ん中に突っ立った芯を!

ちょっとこの芯というか塔だけが異様。マッチ棒みたいな蕾が開いて、か細い花弁の中にそびえる「芯」。「心」じゃ意味が通らないなあ。

クロツグ(マーニ)の実は美味そうだが、やばい!

Kurotugu ヤシ科のクロツグ。島ではマーニと言って、幹の周りの毛を箒に利用したり、若くまだ広がっていない葉を使って玩具のヘビを編んだり、あるいは、幹の芯は食用にしたり、と利用は広い。

さて、この時期、森を歩いていると、赤いこの実の皮だけが落ちていたりする。中身はきれいに無く、皮だけ。おそらく食ったのはオオコウモリ。果実食だ。

で、オオコウモリが食べられるなら、と赤く熟した実を見つけて口にしたことがある。剥いてみれば、それはもう美味しそうな中身。プルンとしてフルーティーな感じだ。言うならライチの中身にも似ている。

味は、美味い。一口目の爽やかな甘さ。上品だ。うむ、食える。と噛んでいって飲み込んだ。が、その時からさあ大変。口の中に細かい棘が一万本も刺さったようなエグ味というか、痛みというか・・・・。あまりの辛さに唾を幾度も吐き出す。

しかし、治らない。お茶で口をすすいでも無駄。どうにも困る。結局2時間ほど、苦しみと付き合った。幸いなのは、お腹には来なかったことぐらい。二度と食べたくない果物だ。(これを果物といってよければ・・・)

ギーマの花

Ssunokigiima スノキ属のギーマ。変わった花とつける。そうだな~。提灯袖のような花だ。ドウダンツツジのようでもあるが、実際に同じツツジ科でも近いところにある。

ところで、このギーマが属するスノキ科は所謂ブルーベリーの木のこと。他のスノキ属を見れば、果実は甘酸っぱくて食べられる・・・とほとんどに書かれてある。が、ギーマには特に何も記されていない。

不味いのか?とりあえず、いずれ実がなったら試して見なくてはなるまいなあ。

シバニッケイ

Shibanikkei クスノキの仲間。ニッケイと言えば、ニッキ。ニッキと言えばシナモン。シナモンで合っていたカナ?自信がありません。

間違っていたらごめんなさい。シナモンはニッキの樹皮を丸めて乾かしたもの。この種の樹皮、葉にはなんとも言えない芳香がある。揉んで匂いを嗅ぐとあまりの爽やかさに別の世界に一瞬行ってしまう。そんな匂いだ。

ただし、葉っぱなども生のものより、樹上で枯れて茶色くなったものの方が香りが強かったりする。島ではこれを樟脳代わりにしたという。確かに知り合いのおばあは箪笥の扉にこの葉の着いた枝をぶら下げてあった。

葉が独特なのですぐに気がつく。縦に入った大きな3本の葉脈。これが特徴。島にはニッケイが何種類かあるが、それぞれ違う使い方をしたのかなあ。多分、一緒だろうと思うけど。

クワズイモの花

Kuwazuimo カサヌパーと呼ばれるまさに傘代わりになりそうな大きな葉っぱの真ん中に鎮座まします仏様。

これがクワズイモの花だ。これが咲くとなんとも言えない、つまりいい匂いとも悪臭とも言えない香りがぷ~んと森に漂う。

まあ、それにしてもこの仏様のエロチックなこと・・・。

オキナワテイカカズラ

Sp1010050 キョウチクトウの仲間である。キョウチクトウと言えば、そこそこ立派になる木であるが、こんなつる性植物も多い。

同じく傷つければ白い汁を出すし、毒もあるのだろう。

サカキカズラとテイカカズラ。同じキョウチクトウ科の2蔓植物は、花がとってもよく似ている。片や開いた花弁(テイカ)。片やそれが細く縮んだような花弁(サカキ)。

両とも種は白い大きな綿毛を上につけ、それがふわふわと川の上を飛んでいく姿は美しい。果実についてはまた書くこともあるだろうが、片やペン型。片や涙型とでも言っておこうか。

この写真も蔓もまだまだ沢山蕾がある。どんどん咲いて欲しい。風車の形をした花がくるくる回りながら舞い落ちるのを見るのはちょっと楽しみだ。

ヤマビワソウの果実

Yamabiwasou 大好きな植物の一つだ。渓流沿いの湿った場所に生える木本っぽい草本で、イワタバコ科。

イワタバコの仲間というだけでも大好きだが、ビワに似た葉というだけの目立たぬ小さな植物が、この時期、その葉陰に白く半透明な果実をたわわにつける。その半透明っぷりが瑞々しい。

さて、今日見つけたヤマビワソウ。いっぱい実った果実に沢山蟻がたかっていた。ちょっと引きそうな景色だが、ちょっと待て。蟻がたかる=甘い。

ならば食べてみなくては。早速賞味。うん、かすかな甘味。風味はココナッツの中身か。食感はまさに梨。小さな白い梨だ。これはちょっと美味い。

島で食べたという話は聞かないが、蟻はよく知っているなあ。

テッポウユリ

Teppouyuri 西表においてユリは山のものではない。ユリ科の植物は数あれど、まさにユリというのはこのテッポウユリのみ。海岸端の植物だ。

カヤックで海を漕いでいると、誰も上陸しそうにない岩の多い海岸に満開に花を咲かせているのを見た。

きっと誰も見ないのだろうと思い、ならば自分だけでもと近寄って見る。

きれいだ。美しい。しかし、勿論花は知らん顔。

花にとっては人間など関係ないだろう。むしろいっぱい摘まれてしまうだけ、天敵かも知れない。だけど、人間は花を見たい。特に可憐な美しい花を。

人間は欲張りだ。地球の自然に積極的に関わりたがる。自然をいくらでも自分のものにしたがる。ただ人として生きるだけではいられない。なんでだろう。

しかし、野で花をめでる心と花を摘んで屋内に飾る心。どちらも人間にしかない心。僕は悪いとは思わない。節度だけ。