テッポウユリ

Teppouyuri 西表においてユリは山のものではない。ユリ科の植物は数あれど、まさにユリというのはこのテッポウユリのみ。海岸端の植物だ。

カヤックで海を漕いでいると、誰も上陸しそうにない岩の多い海岸に満開に花を咲かせているのを見た。

きっと誰も見ないのだろうと思い、ならば自分だけでもと近寄って見る。

きれいだ。美しい。しかし、勿論花は知らん顔。

花にとっては人間など関係ないだろう。むしろいっぱい摘まれてしまうだけ、天敵かも知れない。だけど、人間は花を見たい。特に可憐な美しい花を。

人間は欲張りだ。地球の自然に積極的に関わりたがる。自然をいくらでも自分のものにしたがる。ただ人として生きるだけではいられない。なんでだろう。

しかし、野で花をめでる心と花を摘んで屋内に飾る心。どちらも人間にしかない心。僕は悪いとは思わない。節度だけ。

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