ギランイヌビワ(コニシイヌビワ)

Sp1010023_1 幹生果という。熱帯、亜熱帯の植物でこんなふうに実を幹から着ける種類は多い。特にクワ科イチヂク属で見られる。先にここでも書いたアコウなどもそう。実をこの地域独特の大型哺乳類、オオコウモリに食べさせる為に、こんなところに実を付けるのだ、と千石センセイに教えていただいたことがある。勿論、食べさせて、種を糞で運んでもらう為である。

さて、この写真の実。イチヂクだけにこれが花なんだか、実なんだかよく分らない。イチヂクは無花果。実を小さくしたようなのがぽっつり出来て、それが花で中におしべも雌しべもある。で、花の時期には先端(お尻)に小さな穴があって、ここから受粉を助ける虫が入る。それはこの場合、ギランイヌビワコバチ。一種のイチヂクには一種のコバチが共生関係を結んでいる。ガジュマルだったら、ガジュマルコバチ。

入るのはコバチのメスのみで、その体には花粉が着いている。それが花に侵入して子房(雌しべの根元)に産卵する際に雌しべと接触し、受粉する。勿論、産卵されなかった子房は成熟し種を作る。で、同じように産卵されたコバチの卵は幼虫になって産卵された子房を食べて実の中で成長する。この頃には、花の時代にあった虫の侵入経路はふさがっている。

そして、子房が熟して、いわゆる果実が食べ頃になる直前、実の中には羽化したコバチのオス、メスがワラワラといて、そこで交尾。オスはメスの為に果実を食い破り、脱出経路を開いてやる。この頃になって、果実の方は、初めてオシベに花粉を付ける。メスが脱出していく際、その体に花粉を着けさせる為だ。

そして、交尾を終え、花粉を着けたメスは別の花に潜り込む・・・

ああ、なんて複雑で、なんて素敵な営み・・・・

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