イリオモテヤマネコの糞である。縄張りをしめすマーキングの為に、彼らは岩の上など見晴らしのいい場所で糞をし、砂で隠すというようなことはない。なので、探せば意外と簡単に糞は見つかる。
ヤマネコの糞はけっこう臭い。それは糞そのものの匂いと言うよりも、もっと獣臭い感じである。それもそのはず、彼らは肛門の横にある臭気腺から、臭い糞に臭いガスをかけ更に臭くしているのである。久しぶりに匂いを味わおうと鼻を近づけ、「げえええ」と思いっきりえづいた。気分が悪い。
さて、この糞よく観察してみると、ヤマネコが食べたものが分る。手前には細い骨の塊。奥の大きい糞にはうろこが覗いている。どうやら、この糞の在りし日の姿は天然記念物のキシノウエトカゲのようだ。特別天然記念物が天然記念物を食う。すごい島である。西表。