美味い。西表で潮干狩りというと、干潟や砂浜をガサガサザクザク掘って2枚貝を採る以外に、珊瑚礁や磯の岩場を歩いて貝を採ることも言う。
この貝は通称「ツキミナ」。ツキは月。ミナとは、島の方言で「蜷」(ニナ)。月がつく理由は正確ではないが、貝の蓋が満月のように美しいからではないかと思っている。おばあなんかがよく珊瑚礁ではなく、岩場を歩いているのを見るが、狙いはもっぱらこの貝。サザエなんかの仲間だけに、やはり美味い。
ところで、有名な曲に「海のチンボラー」という島唄がある。チンボラーとはある種の巻貝を指すが、島によってチンボラーが指す貝は違うようである。以前沖縄本島南部の海岸で地元の女の子に教えてもらって採った「チンボラー」とは、このオオベソスガイのことであった。彼女の家でそれを塩茹でした物をビールと一緒にご馳走になったのを思い出す。ただし、本島のこの貝はもっと小さかった。大きなものは採り尽くされたのかも知れない。