谷間に虹が立ち上がった。

お客さんが興奮顔で指さして声にならない歓声をあげる。

誰がなんと言おうと、僕らの生きるこの島は美しい。

今日のこの時のこの虹は、いまここにいる僕らのためだけに現れた。

その瞬間に出会えたこの僥倖に心揺さぶられる。

島の神様に愛されていることを、たとえただの思い込みに過ぎないとしても僕は信じる気になった。