伝書鳩レースの落ち武者

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西表島には、年に数度、何羽かづつぐらいでドバトがやってくる。ドバトとはいわゆる公園のあれ。人間が作り出したハイブリッド。

この島には自然状態ではドバトは生息していないのだが、この突然やってくるドバトたちはみんな見事に足にワッカをはめている。

どうも中国あたりで行われる伝書バトレースからの脱落バトらしい。帰るあてもなく、山で餌を採れる力もなく、いつまでも道路の片隅でウロウロしながら弱っていくのを見るのは哀れだ。

実際にこれらを集めて飼っているという優しい人の話も聞く。

さて、今日、ツアーで海へ出かけ、お昼のために浜に上陸して休憩していたら、そこにいつのまにやら一羽の鳩がやってきて、僕らの周りをうろつき出した。真っ黒なドバト。痩せているし汚い感じだ。足にはやっぱりワッカ。

ほっておいたら、どんどん慣れなれしく近づいてくる。なんでしょうね?さあ、なんでしょう?お客さんと不審に思っていたら、食事に使う水を入れた2?の透明なペットボトルをコンコン!コンコン!とくちばしでつつき始めた。

ああ、水が欲しいんですね!合点して空いていた容器に水を入れてやると飲む飲む。グイグイ飲んでいる。人の手からも飲む。見れば、片方の目からは血のような目やにが垂れ、目自体が乾いてしまっている。ここしばらく一滴も雨が降らない状況だったし、川などに近寄らない元飼い鳩には過酷な環境だっただろう。とにかく喉が渇いていたようだ。

しばらく飲んで離れていったので、もういいのか?と思って水を捨てると、またやって来て、ペットボトルをつつく。

僕たちはこの鳩が飽きるまで何度も水をやって、そして浜を後にした。

できるだけ後のことは考えないようにして。

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