月別アーカイブ: 2007年6月

アシダカグモ♀

Sp6270233 屋内性のクモの中では日本最大になる。情報では足を広げたらCDRほどの大きさまで成長するらしい。でかい!

が、彼らはまさに益虫。沖縄の家では年中暖かい為か、内地よりもゴキブリが多い。しかも巨大だ。その巨大ゴキブリを食ってくれるのがこのアシダカグモ。内地にもいるが、もともとは熱帯亜熱帯から移動していった種類らしい。ならば、やはり沖縄では内地よりも元気で活発であろう。

網ははらず、徘徊性。敵をおっかけその顎でかみ殺す。家に2,3匹いればその家のゴキブリは根絶されるほどの素晴らしいハンターだ。確かにいざ走りだすと非常に足が早く、ゴキブリと言えども簡単には逃げられまいと想像させる。

しかし、その大きさ、毛が生えた体を見るとなんとなく毒蜘蛛のようで不気味である。したがって、益虫と理解する理性よりも心理的な嫌悪感が先に立つ。そして相手を見た目で判断しては駄目です、と言われた子供時代と自分はなんにも変わっていないことに気付く。

さて、写真のアシダカグモは♀である。何かを抱えているように見えるが、これは実は自分の卵を糸で覆った卵のうである。これを口で咥えて成熟するのを待っているのだ。そしていざ卵が成熟すると壁に押し付け立ち去る。そしてその卵のうからは沢山の子蜘蛛たちが袋を破って現れ・・・。まさにクモの子を散らしたように我が家中へ散っていくのか?ううう・・・なんとなくいやだ・・・。やはり屋外にご退場いただくことにした。

コンジキヤガラ(アーカイブ)

Sokinawamuyouran 2005年の話。雨ばっかりの梅雨もまもなく明ける。ここ数日は比較的天気もいい。で、歩いてみた森の中。まだグジュグジュの残る山道の斜面に珍しい植物を見つけた。コンジキヤガラという蘭だ。金色矢柄かな。地面から花茎のみを高く伸ばした姿はなかなか異様だ。花も花か?と思うほど地味である。

その時はもう太陽の傾きの加減でそこが暗かった為、明日戻ってきて写真を撮ろうと思い、去った。そして次の日の朝、天気もいいのでワクワクして出かけてみたら、あった筈の場所でランが見当たらない。おかしい。どこにいったのか?確かに昨日はあった。それがなぜない?

ついつい悪い方に考えてしまう。蘭を狙う人が西表にもやってきて、自生地を荒らすのはよく聞く話だ。昨日帰りにすれ違った観光客。もしかしたらプラントハンターだったのか?採られてしまったのだろうか?いやいや、そんな悪いことはするまい。思い直し、這いつくばって探す。「あっ、あった!」そして見つけたのは、中ほどで折れてしまった花茎。折れた先端部も見つけた。見れば、着いていた筈の花が一つも残っていない。どころか全体的にボロボロのなっている。これはどうしたことだ?

近くを探して別の株を見つけた。ああ!カタツムリ!その株には小さなカタツムリが覆いかぶさって花芽をむさぼっていた。そういうことだったか・・・。しょうがないなあ、これは・・・。

幸い、まったく齧られていない株も見つけた。下手糞ながらなんとか写真も撮れた。しかし、こんな小さなランですら、本当に様々な外敵と対峙しながら生きているのだなあ・・・としみじみ思ったのであった。

p.s.僕はこの蘭がオキナワムヨウランと思い込んでいたのだが、同じ島の茂木さんの指摘で、コンジキヤガラという別の蘭と判明した。茂木さん、ありがとう。

ウミショウブ

S20070616umisyoubu 今年も6月の大潮からウミショウブの開花が始まった。どこかでも書いた気がするので簡単にしか説明しないが、ウミショウブは河口海側や珊瑚礁内側の浅瀬に群生し、稚魚たちの居場所となったり、川のもたらす土砂を固定する大事な役割をもった「藻場」を形成する。

カイソウではあるが、モズクなど胞子で増える海藻とは違い海草である。であるから、花が咲く。花は雄花と雌花があり、雄花の花粉が雌花の柱頭に接することで受粉するのだが、さすがに水中では動物の力を借りて他の株と受粉することは難しい。そこを、このウミショウブは潮の満ち干きと風の力を利用することでクリヤーしたのだ。

それは大潮辺りで潮の一番干上がる日。最大に水面が下がった昼間のその時間、海底から花茎がぐいと伸びた雌花がすばらしいほどのちょうど加減で水面に顔を出す。雌花からはヒラヒラした長い花弁が顔を出し水面に漂う。そのタイミングで水中深く、根元近くにある、雄花を沢山包み込んだ花茎の短い花穂(下写真左)からは、一斉に白い発泡スチロールカスのような小さな雄花が切り離される。

これが水面に浮かび上がったとたん、ちょうどトウモロコシがローストされてポップコーンになった時のように、花弁がポンと開き、花粉を沢山包んだ部分がむき出しになる。そして、雄花の反り返った花弁は爪のように逆立って水面に立ち、風が吹くとまさに走るように水面を滑っていく。これが水面に開いて漂う雌花の花弁にキャッチされる(上写真)。

あとは、再び潮が満ちてくれば、開いていた花弁は水の力で雄花を包んで自然に閉じる。そして受粉だ。

なんだか、難しく書いてしまった。ちなみに西表の伝統芸能ではインヌササグサ(海の笹草)と謡われている。

イリオモテイワタバコ

20070531iwatabako 山の涼しく、あまり日の当たらぬ垂直な岩盤などに生えている。根は岩に浅く張り付くように生えており、食用に葉を採ろうと力をかけると根っこから剥がしてしまうので、僕は葉柄から切り取って摘んでいる。食あたりに効くとも言うが、お味噌汁にちぎって浮かべると、独特のシャキシャキ感が美味。

葉は根元から大きなもの一枚。小さなもの一枚と数がだいたい決まっている。採るなら2枚出ているものの大きい方だけにしておきたい。くれぐれも根から剥がさぬよう。

タバコと名前がついているが、タバコの葉に葉が似ているからであって、煙草とは関係ない。