大潮の朝、普段は濁った緑色の川水は、満ち潮となって溢れんばかりに流れ込んだ海からの水で、おそろしく澄んでいる。 今日は特に綺麗だった。 水の中がすべて見える。魚も沈木もそして沈んでいるヒルギたちも。 そう、今、小さなヒルギは水面下。 いずれ、潮が引けば顔を出すに違いないのだが。 だが、今、この時、ヒルギたちは静かに閉じ込めれている。 澄んだゲルのような液体の中。