日本語を全く解さないお客さんが来られた。
寡黙なダビッドに陽気で大柄なミゲル。
日本人以外の人々は概ね個人主義なので、ガイドやツアーの他の仲間を待とうという意識はない。
「スロウダウン。スロウダウン」と声をかけても、5秒後には普通どおり漕ぎ出している。
また基本的に、基礎体力も日本人よりは上なのだろう。彼らはジム通いも日常のうちだ。実際、2人ともいい筋肉である。
それでも行き道は、まだましだった。少し離れたところで僕らを待っていた。これは気を使っているというよりは、どこまで行っていいか分からないからだ。
それが証明されたのは、滝でゆっくり遊んでの帰り道。
今日は、決して他のお客さんだって体力のない方ではなかったのだが、その帰り道、スタートでスッと僕らを追い越して行った2人を、僕らはその後姿さえ港まで一度も見かけることはなかった。
彼らは港にさっさと上陸し、のんびりとカメラをかまえて僕らを待っていたのだった。
まあ、いっか。