すごくキレイだった。
蒼い暗闇が、明けていくその瞬間。
刻々と変化する空の色。
まさにマジックアワー。
僕らは太陽の息吹を知る。
そして、僕らよりやや早く、鳥達がその誕生を喜んで騒ぎ出す。
サガリバナの森へやっと着いた。
あたり一面に漂うその濃くも柔らかな花の香り。
花が次々梢から落ちる。
落ちては水面で音を立てる。
パチン
木の下に溜まった沢山の花が満ち潮とともに流れ出す。
溢れ出す。
僕らはこの時を待っていた。
川がその溢れ出したサガリバナでいっぱいになる時、僕らの顔に驚きと喜びの光が走る。
さらに奥地へ探検に行ってみれば、そこは精霊の住む場所。
ねじれもつれた大木の下、光をまとったサガリバナは水面で舞った。
僕らは花を散らさぬよう、かき混ぜぬよう、そっとパドルを動かして、秘密の森を後にする。
いや、違った。
精霊はそこにもいた。
朝の川渡る風は清冽で、川全体が澄み切っていた。
人を知らぬ川に僕らは、最初の轍を作り出す。
だけど、川面につけたこの轍は
大いなる川の静けさにあっという間に吸い込まれ、僕らがここを通ったことはただ、そこに浮かぶサガリバナの語られぬ記憶になるのだろう。
欲もある人間だからこそ飯がうまい・・・。
また来るよ。

