幻想ではなく現実でした。 ほんとにこんなふうになるのです。 川面いっぱいになって花が浮かび、流れます。 遠くから見えた花の群れは、白い雪が積もった陸地のようでした。 近寄ってそれが花だと初めて気付きました。 甘い熱帯の匂いを漂わせ、花は流れます。 白い花と淡い桃色の花、紅色の花と。 どんなに眺めてもあきません。 どんなに沢山写真を撮っても、あなたに伝えられません。 きっと。 花は静かに心の奥で、緑の時をたゆたっているのです。