カテゴリー別アーカイブ: ファミリー

二足歩行

20180425

 

西表島の大地。
二足歩行という発見に喜び、ただ歩く。
嬉しそうに。
何度こけても。
今だけのこんな危なっかしくて、でも幸せそうな歩行。
そうだ、その足と共に一生歩いていくんだよ。
やがて赤銅色に焼けた肌の下に太くて強靭な筋肉が宿るだろう。
岩を跳び、障害物を押し退け、水の中すらも進ませる。
どこまでも君を運び続け、大地を掴んでけっして離さない素晴らしい足だ。
喜べ。
父ちゃんは君に残してやれる財産は作れないだろうが、すでに大きな宝物はプレゼントしている。
そして、今の君のその姿を忘れないでいてやろう。

 

長女の入学式

20180410

 

離れて暮らす長女の中学校入学式だった。昼間、お祝いの言葉を留守番電話にメッセージで残しておいたら、夜遅くに長女から電話があった。

前回の電話では、どこか不機嫌な様子で、会話も大して弾まぬまま終わった。思春期だからなぁ、しょうがないかと寂しい思いをしたのだが、今日の彼女は、僕がよく知るそのままの彼女だった。

フクちゃん?
彼女の声を聞いた瞬間に、僕は父ちゃんからパパに変わる
外に出た。
星空の下、久しぶりに電話で繋がったフクとパパ。

背は伸びた?
制服は気に入った?
仲のいい友達とは一緒のクラス?
何部に入るの?
教科書は眺めてみた?
聞きたいことがたくさんある。
その一つ一つにユーモアを交えた返事を返してくれるフク。頭のいい子だ。

中学生になったら、たくさん勉強しなきゃいけないけれど、何は出来なくとも、英語だけは得意でいようね、パパも今、外国からのお客さんがたくさん来て、一生懸命に英語でお仕事してるよ、英語はきっとフクの人生を豊かにするよ、そうだ、どっちが英語上手になれるか、競争しよう、フクが大学生になったら、一緒にハワイに旅行しよう、そしてどっちが上手いか試してみようよ。

いいよ、でもフクの方が絶対に上手になってると思うよ。
そう笑ったフクの笑い声がたまらなく好きだ。

遠い約束。
でもそんなに遠くない。
あれから6年経った。
あとたった6年。
もうすぐ大人になる。
そしたら、自由にパパと旅行だって出来るだろう。

明日、寝坊したらパパのせいだからね。

女の子らしい憎まれ口も堂にいっている。
そうだね、早く休まないとね、電話の向こう、さらにお姉さんになったであろうフクの顔を想像する。
心の中で明日からのフクにエールを送って、おやすみなさい、と電話を切った。

繋がっている。
星空の下のフクとパパ。
変わっていく二人の時間。
でも心の中にある変わらないあの時間。
フクの中のパパ、パパの中のフク。
遠い約束。
だけど約束。
いつか。

 

 

西表島に住むこと

20180405

 

ツアー仕事もなくなったので、いっぱいあるはずの事務仕事はほったらかしておいて、やっとこさ海へ。
なんでこんな美しい時間を置いておけるものか。
こんなふうにしたくて移住したんじゃなかったか?
忘れてた。なにかに追われて。
忘れちゃってる。みんなみんな。
美しい海も空も緑も風も、そして時間もすべて貸切。
時間って呼ぶのはやめよう。間はやめよう。
なにも無理やり区切らなくてもいいじゃない。
時感を楽しむ。
時を感じるそんな時を過ごして。

ガイドの休日。ぎっくり腰治療へ

201803261

 

西表島ではケガができません。

外科的処置なら診療所がありますが、関節痛や骨のずれなどはどうしようもない。

忙しくなる前に苦しめられているギックリ腰を治してしまおう、と朝から石垣島の治療院へ。

発症後から毎日、念入りなストレッチと下半身への自力マッサージをしてきたおかげで、時折腰が抜けるほど痛むこともありますが、気をつければ、前屈みもできるし、ふつうに歩けるぐらい。
かなり良くなってきました。

治療院でうつ伏せになって治療を受けられるほどに回復。一昨日には寝ることすらきつかったのが、嘘みたいです。

しかし、こんなキツい腰痛は西表島生活で初めて。四十肩も出てるし、あー俺のガイド人生も転機を迎えてんのかなぁーとちょっと弱気になっていたんです。

が、今日、身体を触ってもらった先生が、マッサージにやや息を切らしつつ、「いやぁ、すごい筋肉量ですねー。これだけ筋肉のある方はしっかりメンテしないと、ガチガチになっちゃいますよー、それにしてもスゴイ」と繰り返して仰る。

え?そうなの?
その言葉の良いところだけ取って、俺、まだイケてるんや〜といい風に解釈。

なんか気分も楽にしてもらいました。
まだまだイケてるガイドとして頑張る為にこれからはしっかりメンテナンスします!!

港まで迎えにきてくれた息子を肩車してちょっとお散歩。
完全復活遠からず!!

お迎え

201803051

 

西表島を離れ、しばらく里帰りしていた彼女と長男をお迎えに空港まで。
まだ一歳になったところの子どもが一月も帰っていると、やはり父親の顔もなんとなく他人のようになるらしく、最初は泣きそうな顔をされました。
でも、やがて慣れると…
はい!この笑顔!!
風邪などひかず、毎日健康に過ごしてくれたそうで、あちらのご両親にも感謝です。

頑張れって言ってやる。

101201

台風のおかげでゲストもなく、冬のような島。
なんだかこの感じ、寂しさが身に染みる。

久しぶりの電話。
「フクは一人でいると寂しくておかしくなる」
僕、一瞬絶句。
「・・・本当、一緒だね。それはパパもなんだよ」
寂しがり屋の似た者父娘。

西表は一人では寂しすぎる島だって知ってた?
そしてそこで暮らす人も育った人も寂しがり屋になるようだ。

もうすぐ会える。
もうすぐ。

冬はもうすぐ。
フク、サオ、パパの季節。
寂しくない。
冬はもうすぐ。