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Mケンさんの力

Mケンさんの力

2007/07/08

ナーラ

リピーターのMケンさんが今度はお父さんとその写真のお弟子さんを連れてきてくれた。Mケンさんが企画してくれたツアーだが、平均年齢60を優に超えている高齢のグループだ。しかも勿論カヤックははじめて。したがって強い向かい風に対し最初から引っ張る羽目になる。ただ、Mケンさんも手伝ってくれるので実に頼もしい。言葉に甘えて半分はMケンさんにお任せした。お客さんを気遣い、あちこちで声をかけて励ましながら行く彼の姿はガイドそのものであった。
やっと着いたナーラ滝。水量はここのところの雨不足でかなり少ないので、ちょうど初心者が滝を浴びるにはいいぐらいだ。しかし、グループの皆さんは一切泳ぐことなく、早速カメラを滝に向けている。お父さんのアドバイスにみんなが同じアングルでファインダーを覗き込む姿は、さながら草原のプレーリードッグのよう。Mケンさんが「笑えるでしょう」と言う。う~ん、笑えるというよりは疑うことを知らない善き日本人の姿と思ってしまうのは皆さんの年齢が高いせいか。
Mケンさんはと言うとやはり滝に打たれる位置まで迫って水飛沫を追っていた。今回、初めてその作品を額に入れたものをいただいたが、光を蓄えて弾けた飛沫は、渾然とした宇宙空間に少しの規則性を得ながら並び輝く星雲のようであった。
さて、帰りのカヌー。行きに引っ張られたペアの舟は、どうしたことかドンドン先を行く。朝の駄目加減が嘘のよう。他の方に聞けば、その2人は負けず嫌いらしく、行きしに引っ張られたことを気にしていたらしい。しかしながら、残りもわずかというところで僕たちが追いついてみれば、もう諦めてしまったらしく、「ガイドさん、引っ張ってください」と頼まれた。
引っ張るのはなんでもないが、そこで僕はあえてお断りした。まだゴールこそは見えていないが、本当にもう少し頑張れば、たどり着く。そうしたら少なくとも半分は自分たちの力で頑張ったことになる。その方が彼女たちにとって「頑張れた」という大きな思い出になると思ったからだ。
その時は「なんでそんな厳しいことを言うの?」と少し反発されたもののゴールした彼女たちの笑顔は清清しかった。
皆さんから私達がここまで出来るとは思わなかった。嬉しい!そう言われたが、Mケンさんの力もあってこそ達成できた10時間ツアーだったことに間違いはない。