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意地っ張り。

意地っ張り。

2008/08/01

滝遊び Summer Day’s サワートレッキング

今日は、一家族だけのツアーとなったので、とてもゆっくりだった。しかもレンタカーで集合してくれたので、送迎がいらない。その分の時間までゆっくり自然の中で楽しんでもらおうと思っていた。

9時前には港を出て、上流にてカヤックを降りたのは10時20分頃。けっこうな引き潮の中を上流に向かって漕いだ。
この大潮だと相当潮が引くだろうと予想し、僕一人、カヤックを牽引して再び下流まで持って行く。下流でカヤックを括りつけた後、みんなが降りて休憩している上流まで川の中をザブザブ歩いて戻らないといけない。
それでも、帰り道、水のない川をカヤックを引き摺って歩くのはお客さんたちにはかなりきついことなので、ガイド一人で済むなら、と先に苦労はしておくことにしているのだ。

再び合流して川を歩き始めたのは10時50分頃。
元気な小学生兄妹につられるように、お父さん、お母さんも若返って弾けている。沢を歩くペースもとてもいい。
11時半までにはお昼をとる予定の広い岩場に着いていた。

さて、そこで僕はお昼の準備をしなくてはならないのだが、そんな時間も遊びたい子供たちの為に、今日は小さな釣り針と糸を用意した。
テナガエビ釣りである。
ある程度のポイントと釣り方を説明して、あとはお任せ。
大事なことは、「エビが大きなハサミで餌をつまんでも、口に咥えるまで辛抱して引っ張るな。そして咥えたと思ったら、思いっきり引っ張って、口にかける」というたったそれだけ。
お父さん、お母さんも加わって、全員かなり熱中。小さな穴を4人で頭を突き合わせて囲んでいる。
エビはいるし、餌に反応もするのだが、なかなか巧く掛からないようだ。
特にお兄ちゃん。少年らしいセッカチさで、エビが餌を咥える前にどうしても引っ張ってしまう。お母さんにアドバイスされても「分かっている!」と言って実は全然分かっていない。
餌のない針にたまたまエビがかかりそうになってもんだから、今度は「餌なんていらない!」と針だけで掛けようとチャレンジ。色々試しているが、とにかくアドバイスはいらないらしい。
そのうち、お父さんがお兄ちゃんの狙っていたエビを先に釣り上げてしまう。ちょっとがっかりなお兄ちゃん。
食事が出来ても、あと少し、と粘り続ける執着心は見事。
食後、今度はみんなのアドバイスを素直に聞いた妹さんが、大きなテナガエビをお兄ちゃんの見てる前で、お兄ちゃんよりも先に釣り上げてしまった。
何も言わないお兄ちゃんだが、今のことはなかったかのようにそこに居座って釣りを続けるその背中に、悔しさが滲み出している。
午後1時半、更に上流の滝を目指して沢を歩き始める寸前まで粘っていたが、結局、釣れなかった。
だが、エビ達には退屈することなく熱中したまま2時間も遊ばせてもらえたことになる。

そして、滝で存分に遊んで同じ場所に戻ってきたのは午後3時。今日は「ゆっくり」の予定なので、お兄ちゃんにリベンジの機会を与えてあげようと、もう一度休憩時間を作った。
早速、穴に向かうお兄ちゃん。妹さんも最初は向かったが、すぐにやめた。もう満足していたのだろう。

「やった!釣れた!釣れた!」
誰もが、全く注意を払っていなかったそんなタイミングで、突然お兄ちゃんのエキサイトした大きな声が響いた。
「おおおお!やった!やった!」
今日一番の喝采を全員から浴びる。
お父さんからもガイドからも写真攻め。
ちょっと誇らしげだ。
意地を張って、アドバイスを聞かず、それでも「なぜ釣れないのか」とひそかに自問自答して、そうして見事に工夫して結果を出した。
そんなお兄ちゃんの意地っ張り加減はなかなか良かった。
えらい!

のんびりした一日、僕らが港に着いたちょうどその時、白浜では5時の音楽が流れ始めた。
「エンドウの花」の調べを聴くツアーの終わり。
なかなか味わい深い。